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第56回ヴェネチア・ビエンナーレ・レポート
5月30日(土)午後4時より
第56回ヴェネチア・ビエンナーレ帰国報告とレクチャー 
入場料500円(ワインかお茶、ワンドリンク付)開場午後3時。
プレゼンター:
森下泰輔(美術家、美術評論家、ディレクター) 
菅間圭子(現代美術家、パフォーマンス・アーティスト)

同時開催展覧会:
第56回ヴェネチア・ビエンナーレ・レポート展
2015年5月29日(金)〜6月5日(金)
15:00〜20:00 日曜日休廊


「今回の企画展は世界を発見するフィルターではなくレイヤーである」エンヴェゾー。

ヴェネチア・ビエンナーレ初のアフリカ出身ディレクターで、ドクメンタ、ヴェネチアと2大国際展を仕切ったオクイー・エンヴェゾー。その意味では同様のハラルド・ゼーマンの正当な後継者といっていい。ゆえにゼーマンと同じく民主的な視点より現代美術を再構成したといえるだろう。

エンヴェゾーのテーマの軸は「マルクス資本論」といった唯物史観にある。
元来、哲学・芸術の流れというものはギリシア時代から核になる考え方は二元論に裏打ちされてきた。唯物論的(マテリアリズム)と唯心論的(イデアリズム)二元論だ。

モダンの最後は抽象性に到達したが、このころまでは唯心的なニュアンスが強い。しかし、ポップ以降は唯物的な時代に芸術は突入している。

コンセプチュアル・アートも当初は唯心的でプラトニックだったが、河原温が日付絵画を始めてから、あるいはハンス・ハーケが1970年にMOMAで政治的なコンセプチュアリズムを始めたこともあって、唯物的・現実界的な思考上にアート全般は入ってきている。

エンヴェゾーは今回、企画展「すべての世界の未来」のなかで、ジャルディーニのエキスポジション館の中央アリーナを天井の高い劇場に作りかえ、マルクス資本論の朗読を始め、スポークン・ワーズと呼ばれる数々のボイス・パフォーマンス、ポエトリー・リーディング、黒人霊歌、ワークソングまでを含む詩や音楽、大島渚「日本の夜と霧」(60年安保を主題にした幻の傑作)を含む映画上映、パフォーマンス・アートによる行為芸術などのプログラムを連日、常設的に組んでいる。

アイザック・ジュリアンの作品「資本論」。劇場空間で期間中、資本論3部作の朗読パフォーマンスを続けている。

中央アリーナは、毎回、ヴェネチア企画展の中心的概念を表象する空間なだけに、今回のエンヴェゾーはシアター(劇場)を芸術的ダイアグラムの軸に持ってきたことになり、これは画期的なことだ。ビエンナーレ内部の中心に穴を穿ち外部(現実世界)を押し込んだような構造になっている。思想史としてのマルクスをここに押し込むということは、人間を解放に導くべき唯物史観的芸術が今日の芸術であり、将来の動向の基礎であるということを宣言したのも同じだ。しかし同時に回顧的に再認識することでマルクスの限界をも抽出しようという行為とも言えるだろう。

さらにアルセナーレ(造船所跡)に伸びる企画展は、ここ20年来隆盛を極めてきたポリティカル・コレクトネス(政治的芸術)の積極的なヴェネチア侵入をひとつの軸としている。

アフリカ、アラブ圏、中南米、東・東南アジアからのアート作品は映像、写真、絵画、インスタレーションを伴って加害・被害、あるいはマルクス的階級闘争の作品で埋められている。そこには貧困・格差、フェミニズムアート、搾取、コロニアリズム、レイシズム問題などがアート作品となって並列される。

金獅子賞:エイドリアン・パイパー(米国)、銀獅子賞:イム・フンスン(韓国)、国別館金獅子賞:アルメニア館などの紹介、解説も行います。



日本からは塩田千春(日本館)と石田徹也(企画展)。
今回のヴェネチアで何が起こったのか? アートの未来は? など作家資料、写真・映像を交え深く考察いたします。

参考展示:スティーブ・マックイーン(オフセットプリント)ほか展示作家の作品や写真多数。

森下泰輔、菅間圭子のヴェネチアで制作された映像、写真作品も展示。














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