〒111-0053 東京都台東区浅草橋4-5-2 
片桐ビル1F 

03−5839−2985
090−3803−1989
e-mail
https://www.facebook.com/Art-Lab-AKIBA
https://www.facebook.com/events/556157674577968/
内村 航 展「渚の風景学V」

9月5日(月)〜終了日9月18日(日)15:00 -19:00会期中無休
レセプション:9月10日(土)18:00-20:00

キュレター:Arthur Takehara
プロデューサー:地場賢太郎

作品について 内村航

3回目の個展である。3回目ともなれば、現代アートの慣習も知り、コンセプトやステートメントの書き方も身についただろうか。人前で発表する前提で作品を制作しているのだから、そのような作法と無関係ではいられないと思う反面、そうしたものと、本質的な美しさ、あるいは、「芸術の普遍的な意味」といったものとのズレを感じる場面も多い。

この1年間で、テキスタイルをはじめとする世界各地のフォークアートをたくさん見るようになった。それらがもつ自然の素材感、機能の追求から生まれる美、日々の生活と切り離せない宗教性は、ものをつくることへの個々人の意識が、現代のそれとはまったく異なるありかたであったこ
とを示している。

さまざまな変革によって状況は変わる。その連続性の中に今があり、未来がある。手を使いものをつくる時代が終わり、グローバル化・大量移民・戦争の時代を生きる中で、敢えて時代の流れと逆行する理念を持ちながら作品を作り続ける意味とは何だろう?途切れることのない渚の風景の中で、あらゆる二項対立の交わる場で、これからも考え続けたい。


展覧会について Arthur Takehara


 まずこれまでの「渚の風景学」を振り返ってみたい。
 第一回には、画面上で布を織ったような、 ある種の張力を感じさせる作品が並んだ。 使用された画材は木炭と紙という典型的な<描くもの─ 描かれるもの>でありながら、それぞれが互いに入り組み、 地と図の区別が消えていくような印象を受けた。
 第二回では、実際に内村自ら織った布がキャンバスに用いられた。 石膏の下地塗りの上に岩絵の具で抽象が描かれていたが、キャンバスの質感がそれと対等の存在感を放ち、 ここでも支持体と描画材の境界が曖昧になる様が見て取れた。
 こうして、これまでのところ、 内村自身のステートメントに登場する“二項対立” というキーワードは、作品上で「崩れるもの」 として意識されてきた。また、作品の物質的な要素、 つまり画材によってもそれが代弁されていた。しかし、 今回の作風からは、そこから何か突き抜けたような、 より広い視野が感じられる。
 作品にはこれまでで最も「何かの形」らしいものが描かれている。 どこまでも崩れ、 輪郭を失った宇宙のような場所に挑むのではなく、 収斂することでかえって自由に身動きを取る方法を発見したのかも 知れない。
 今回、渚の「風景」でなく「風景学」 というタイトルが腑に落ちるのは、 内村が効率化一辺倒の世界に背を向けながら、それ以前の「風景」 に還ろうとしているわけではないからだ。そうではなく、「風景」 を記録なり検証なりして、 学問という人の営みの上で相互関係を築こうとしている。 三部作の集大成に相応しく、 彼自身の着地点を示す展覧会になったと思う。







許可なく本ホームページの画像・文章その他を複製・引用し、あらゆる商業目的に使用することを固くお断りいたします。